メンタル不調が原因で従業員が休職中に 企業ができること

メンタルヘルス

メンタル不調者が増えている

様々な理由で、働く人のメンタル不調が増えています。

以下は厚生労働者からのデータです。

2017年11月から2018年10月の1年間でメンタルヘルス不調により

・連続1か月以上休業した労働者がいた事業所 6.7%
・退職者がいた事業所 5.8%

企業がメンタル不調者に対応しなければならないケースが珍しくはないことが分かります。「からだ」の病気と比べると「こころ」の病気は、対応が難しいと考えられています。

実際、メンタル不調者は最悪の場合は自殺に至ることもあるので、慎重な対応が求められることは確かです。

休職の期間を2つに分けてみる

それでは、メンタル不調者が休職中に企業ができることはあるでしょうか。あるとするならば、何を行えばよいのでしょうか。

それを考えるうえで、休職の期間を2つに分ける必要があります。

・休職開始~主治医による職場復帰可の診断(復職前期)
・主治医による職場復帰可の診断~職場復帰(復職後期)

時期によって企業が行うべき対応が異なります。

今回は「休職開始~主治医による職場復帰可の診断(復職前期)」の時期における、企業が行うべきことについて考えてみます。

復職前期に企業ができることはほとんどない

結論を言いますと、「休職開始~主治医による職場復帰可の診断(復職前期)」の期間に企業ができることはほとんどありません。

「ほとんど」とつけたのは、この時期に企業がするべき対応は、単純な事務的手続きのみだからです。

その理由は、この時期はメンタル不調者の状態が最も悪い時期のため、休職者は療養に専念すべきであり、治療や対応は主治医に任すべきだからです。

メンタル不調に陥る原因の多くは会社に関係しています。例えば、人間関係、業務内容、労働時間です。

そのため、休職して会社からの距離が離れることにより病状が改善することも大いにあります。逆に言えば、会社から連絡や接触があることにより距離が取れない場合には、病状の改善を妨げる可能性もあるわけです。

企業からの連絡や接触の是非について

しかし、会社から絶対に連絡や接触をとっていけないわけではありません。

厚生労働者による「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(以下、手引きと略します)」によると、

・病気休業期間中においても、休業者に接触することが望ましいことがある

とあります。

接触することが望ましいことがある。というのは解釈が難しい表現です。いかにもお役所的な表現ですが、望ましいことがあるということは望ましくないということもあるわけです。

望ましいか望ましくないか、この微妙な問題を企業側が適切に判断するのはかなり難しいことです。

また、手引きには次のように書かれています。

・接触する際には、主治医と連絡を取り、許可を得る必要がある

事務手続きなどの必要な連絡を取る場合は、主治医の許可をとる必要なありませんが、それ以外については許可をとらなければなりません。

私の経験から、この時期にわざわざ主治医の許可をとってまで(病状を悪化させるリスクをとってまで)、メンタル不調による休職者と接触しなければならないケースはほとんどないと思います。

まったく接触を断つべきなのか

先ほどから、「休職開始~主治医による職場復帰可の診断(復職前期)」の時期に、企業ができることはほとんどないと言っていますが、実際には完全に接触を断つわけではありません。

休職中に、診断書や傷病手当金などの事務手続きなどが定期的に必要となるからです。この事務手続きのタイミングを利用して、簡単なコミュニケーションをとるという方法はあると思います。

これは企業と従業員の双方にメリットがあると考えます。

企業側から見ると、休職者がいつ復帰できるのか見通しがまったく分からなければ事業運営に支障がでます。

・通院の有無
・病状の経過
・復帰の見通し

これらのことを簡単に聞き取ることは問題ないと考えます。ただ、休職者の負担にならないように気を付けましょう。

また、従業員側は完全に会社との関係が絶たれることによろい不安や孤独を感じることが考えるるので、このようなちょっとしたコミュニケーションは有用でしょう。

まとめ

・メンタル不調者が休業中に企業ができることはほとんどない

・休職中に接触することで療養に支障をきたすことは避けなければならない

・療養前期の対応は主治医に任せる

・事務手続きを行うタイミングで、簡単なコミュニケーションをとることは有用

・その際は、くれぐれも休職者の負担にならないように気をつける

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