ストロング系チューハイがからだに与える影響は?

アルコール

アルコール濃度9%のチューハイ

  ストロング系チューハイが登場して以来、かなりの人気を集めています。ストロング系チューハイのストロングとはアルコール度数が高いところからきています。

 通常のチューハイはアルコール度が5%ですが、ストロング系チューハイは9%と通常の1.8倍です。

 人気のあるストロング系チューハイですが、アルコール度が高いことによるからだに対する影響はあるでしょうか。それとも特に問題はないのでしょうか。

 アルコールの健康への影響を考えるうえで、まずは1日の適切なアルコール摂取量を知らなくてはなりません。

1日のアルコールの適量は?

 「健康日本21」という日本政府による国民の健康を推進するための方針があります。ここに書かれている1日のアルコールの適量は、純アルコールに換算して1日平均20gとされています。

 この20gという数字がどこからきているか、根拠は何かというと、下の図を見てください。

 この図は、1日の平均アルコ―ル消費量と死亡率の関係をみたものです。女性の場合は0~9g、男性の場合は10~19gの場合が最も死亡率が低くなります。

 非飲酒者よりも少量飲酒者の方が死亡率が低く、そのゾーンを越えると飲酒量が増えるごとに死亡率が高くなります。

 そのため、1日のアルコールの適量は20gと決められ、女性の場合はそれよりも少ない方が望ましいとされています。

 念のため付け加えると、非飲酒者よりも少量飲酒者の方が死亡率が低いからといって、飲めない人が無理してアルコールを飲む必要は全くありません。

純アルコール量の計算方法

 アルコールの適量が1日20gということが分かりましたが、ここで言うアルコールの量は純アルコールの量を指します。自分が飲んでいる量が適当かどうかを知るためには、純アルコール量を計算して出さなくてはなりません。

純アルコール量(g)=アルコール濃度(%)×飲んだ量(ml)×0.8

 0.8はアルコールの比重で、これを掛けるところがポイントです。

 この式を使ってアルコール度5%のビール1缶の純アルコール量を出してみましょう。

(ビール350ml1缶)

 5/100×350×0.8=14g

(ビール500ml1缶)

 5/100×500×0.8=20g

 アルコール度5%のビールは500mlでちょうど適量ということになります。

 純アルコール量の計算方法が分かったところで、いよいよストロング系チューハイの純アルコール量を計算してみましょう。

ストロング系チューハイの純アルコール量

 先ほどの式を使ってアルコール度9%の純アルコール量を出してみます。

(ストロング系チューハイ350ml 1缶)

 9/100×350×0.8=25.2g

 350ml1缶で早くも1日の適量を越えてしまいました。

(ストロング系チューハイ500ml 1缶)

 9/100×500×0.8=36g

 350mlで適量オーバーだったので、当然のことながら500mlでもオーバーです。通常市販されている缶のサイズだと1日の適量を越えてしまうというわけです。

 アルコール度9%のストロング系チューハイの適量を計算すると、1日277mlです。ということは、350ml1缶のうち20%くらい残せば適量に抑えることができます。しかし、せっかく買ったチューハイを残すというのは現実的には難しいでしょう。

チューハイは量が多くなりやすい

 チューハイは甘くてのど越しがよいため、飲みやすいという特徴があります。他のアルコールが苦手でもチューハイならジュース感覚で飲めたりもします。

 チューハイはその飲みやすさゆえに飲む量が増えてしまう傾向にあります。

 また、アルコールを習慣的に飲むと耐性ができます。耐性ができるとアルコールに強くなるので、同じ量のアルコールでは酔えなくなってしまいます。そうなるとアルコールの量が増えてしまいます。

 私の会社にも毎日ストロング系チューハイ500mlを2缶、3缶飲んでいる社員がいます。さすがにこれくらいの量になると保健指導を行って、改善を促します。

 自分が飲んでいるアルコールの量が適量と比べてどれだけ多いかを分かっていただくことが必要です。

(ストロング系チューハイ500ml 2缶)

 9/100×1000×0.8=72g

(ストロング系チューハイ500ml 3缶)

 9/100×1500×0.8=108g

 適量である1日20gと比べると3倍、5倍の量です。

 純アルコール量は40g以上で生活習慣病になりやすく、60g以上ではさらにリスクが高くなります。ちなみに60gを越える量を飲んでいる人は多量飲酒者と呼ばれます。

 多量飲酒者は仕事のパフォーマンスが低下している可能性もあります。この場合、本人には自覚症状がない場合も多いです。会社としてはパフォーマンスが下がっている社員は見過ごせないので、減酒や禁酒を勧める必要があります。

 中にはアルコール依存症になっている人もいるので、その場合は専門の医療機関へつなぐ役割を果たすことも重要です。

ストロング系チューハイについて まとめ

 ストロング系チューハイはアルコール度が高いです。飲みやすくて美味しいので量が増えてしまう傾向にあります。

 小さい缶(350ml)でも1日の適量を越えてしまうことを考えると、ストロング系チューハイは買うべきではありません。

チューハイを飲むならアルコール度がより低いものを買うことをお勧めします。

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