はじめに
半数以上の人が何らかの甲状腺の異常を持っているとの報告があるくらい、甲状腺疾患の頻度は多いです。とは言え、その全員が治療を必要としているわけではないため、大事に至っておりません。
しかし、その中には本当は治療が必要なのに、気がつかずにそのまま過ごしていらっしゃる方もかなり多いです。
甲状腺の病気は症状が現れにくいのものが多いということが原因なのですが、甲状腺について知ることによって、自分が甲状腺の病気にかかっているのかどうか、治療が必要かどうかについて知ることができます。
甲状腺が悪いと、知らないうちに体調に変化が起きているかもしれません。体には順応性があるので、その悪い状態に慣れてしまうので気がつかないのです。
甲状腺の病気があることを知り、それを治療することによって、今よりも体調が良くなるということはよくあることです。
まずは甲状腺について知ることから始めましょう。
甲状腺について
甲状腺がある場所
甲状腺はのどぼとけのすぐ下あたりにある臓器です。
甲状腺が正常の場合は、あるかどうか分からないような臓器なのですが、甲状腺の病気になると腫れてくることがあります。
甲状腺が腫れるということが、甲状腺の症状の中でも重要な症状の一つなのですが、軽症だとなかなか分かりにくいのが実情です。
甲状腺の働き
甲状腺は、「甲状腺ホルモン」というホルモンを分泌する臓器です。この甲状腺ホルモンが体の代謝を調節しています。
甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、体のバランスも崩れてしまいます。甲状腺は目立たないですが、体の中でとても重要な役割を担っている臓器なのです。
甲状腺の病気の種類について
甲状腺の病気はたくさんあるのですが、大きく分けると甲状腺の異常は2種類に分けることができます。
・甲状腺機能の異常
・甲状腺の腫瘍
という2種類です。
甲状腺の機能異常、甲状腺の腫瘍の中にも、いくつかの病気があるのですが、甲状腺の異常は、『甲状腺機能異常』と『甲状腺腫瘍』の2種類であるということを知っておくと良いでしょう。
その2種類の病気は同じ甲状腺の病気といっても性格が異なります。
甲状腺機能異常についての検査は血液検査、甲状腺腫瘍の検査は超音波(エコー)検査と、行う検査も違うのです。
《Point》
・甲状腺の病気は「甲状腺機能異常」と「甲状腺腫瘍」の2種類に分けられる
甲状腺の機能異常とはホルモン分泌の異常
甲状腺機能の異常とは、甲状腺のホルモン分泌に異常がある状態です。甲状腺ホルモンが多い状態を甲状腺中毒症(甲状腺機能亢進症)、少ない状態を甲状腺機能低下症といいます。
甲状腺のホルモンは体がとても繊細な調節を行っているので、正常範囲内にあるのが普通なのですが、甲状腺に異常があると、ホルモンが多くなったり、少なくなったりしてしまいます。
甲状腺ホルモンの働きは体の代謝を調節することなので、甲状腺ホルモンは多くても少なくても異常な状態なのです。
それぞれの代表的な病気としては、甲状腺ホルモンが多い病気はバセドウ病、少ない病気は橋本病があります。
どちらも頻度が多い病気なのですが、治療方法はしっかりと確立されているので心配はありません。重要なのは、その病気にかかっているかどうかを知ることなのです。
《Point》
・甲状腺機能異常とは、甲状腺ホルモンの異常
・甲状腺ホルモンが多ければ機能亢進症(中毒症)、少なければ機能低下症
甲状腺の腫瘍について
甲状腺腫瘍とはどういうことかといいますと、甲状腺の内部に腫瘍性の病変があるということです。腫瘍というのは言い換えると、「できもの」のことです。甲状腺腫瘍とは、甲状腺の中に「できもの」ができているということです。
腫瘍と聞くと、「癌(悪性腫瘍)」という言葉がぱっと頭に浮かび、怖くなる方がいらっしゃるかもしれません。残念なことに甲状腺にも癌ができることがあります。
しかし、甲状腺にできる腫瘍は多くの場合が良性腫瘍です。良性腫瘍の場合、ほとんどが治療の必要はありません。
また、悪性腫瘍(甲状腺癌)と比べると、良性腫瘍の方が圧倒的に頻度が高いので、甲状腺腫瘍があると言われても心配しすぎる必要はありません。
ただ、甲状腺癌である可能性も少なからずありますので、一度は受診して調べてもらった方が良いでしょう。
《Point》
・甲状腺腫瘍には良性腫瘍、悪性腫瘍がある
・ほとんどが良性腫瘍。しかし、悪性腫瘍の可能性があるため、一度は調べてもらった方が良い
今回のまとめ
約半数の方がいずれかの甲状腺の病気を持っていると言われています。
自分に甲状腺の病気がないか、そして、治療が必要ではないかを知ることは健康を維持していく上でとても重要です。
特に、体の調子が心配な方は甲状腺の病気について疑ってみると良いかもしれません。
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