甲状腺ホルモンの分泌が多すぎて、体に不調を来たす状態のことを甲状腺機能亢進症といいます。その代表的な疾患がバセドウ病です。
甲状腺ホルモンはからだの代謝を活発にするホルモンです。甲状腺機能亢進症になり、このホルモンが多くなりすぎると、からだの代謝が必要以上に活発になってしまい、色々な症状が現れます。
甲状腺ホルモンは全身に作用するホルモンなので、バセドウ病の症状も全身に現れ、種類も非常に多彩です。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)が疑われる症状
バセドウ病で見られる症状には次のようなものがあげられます。これらの症状がある場合に、バセドウ病を疑います。
- 暑がりになる
- 発汗増加(汗をよくかくようになる)
- 息切れがある
- 動悸、頻脈(動悸を感じる、脈が早くなる)
- 倦怠感、疲労感(だるい、疲れやすい)
- 神経過敏(いらいらする)
- 集中力低下(集中できなくなる)
- 体重減少(食欲はあるが、体重が減る)
- 手指振戦(手が震える)
- 甲状腺腫(前頚部が腫れる)
- 便通異常(便が柔らかい、下痢をしやすい)
- 眼球突出(眼球が前方に出てくる)
- 不眠(ぐっすりと眠れない)
- 脱力感(力が入らない)
というように、バセドウ病というのは様々な症状が起きる病気であることが分かるでしょう。
バセドウ病の三大徴候 意外と少ない眼球突出
上に挙げたバセドウ病の症状の中でも、3大徴候といわれている代表的な症状が3つあります。
その3つとは、
- 甲状腺腫(甲状腺が大きくなる)
- 眼球突出(眼球が前方に突出する)
- 頻脈(脈が早くなる)
という3つの症状で、Merseburg(メルセブルグ)の三徴候といわれます。しかし、このMerseburgの三徴候が3つともそろうバセドウ病は多くありません。
特にバセドウ病というと、「眼が出てくる」病気というイメージを持たれている方が多いようですが、実際のところはバセドウ病で眼球突出が現れるのは約20%と意外と少ないのです。
バセドウ病に多い自覚症状
バセドウ病に多くみられる自覚症状を頻度順に並べてみます。
- 疲労感、倦怠感 約90%
- 動悸、頻脈、発汗過多 約80%
- 手指振戦 約75%
- 息切れ、暑がり 約70%
- 体重減少 約65%
- 不眠、神経過敏、集中力低下 約60%
- 食欲増加 約40%
- 脱力感 約30%
- 下痢、軟便 約25%
- 眼球突出 約20%
というようにバセドウ病の症状といっても、出やすい症状と出にくい症状があることが分かります。
バセドウ病は甲状腺ホルモンの分泌が多くなりすぎる病気です。甲状腺ホルモンが多すぎると代謝が活発になります。なので、疲労感、倦怠感、動悸、頻脈、発汗過多といった症状が出やすいのだと考えられます。
バセドウ病は「眼が突出する病気」ではなく、甲状腺ホルモンが多くなることで「疲れやすくなる病気」「脈が早くなり、動悸が起こる病気」というように、認識を変える必要があるでしょう。
年齢、性別によっても出やすい症状が違う
同じバセドウ病であっても、年齢や性別が異なると出やすい症状と出にくい症状は異なります。
女性の場合
若い女性では初発症状として最も多いのは甲状腺腫です。その他には動悸、手指振戦が出やすいです。高齢になるにつれ、これらの症状は目立ちにくくなり、その代わりに高齢の女性では体重減少が出やすくなります。
若いと食欲の亢進が体重減少をカバーするため、体重減少は起こりにくいです。
男性の場合
男性はどの年齢においても体重減少が最も多い初発症状です。
男性の場合、甲状腺が女性と比べ下の方にあり見つけにくいため、甲状腺腫は目立ちにくいです。また、男性の初発症状で最も特徴的なものは周期性四肢麻痺という症状です。
これは運動後や過食がきっかけとなって四肢の麻痺が起きるという症状で、この症状が女性に起こることはとてもまれです。
バセドウ病の症状 まとめ
バセドウ病の症状は非常に多く、他の病気でも起きるような症状が多いため、初期段階ではバセドウ病の診断に至らない可能性があります。バセドウ病に特徴的、かつ頻度の多い症状を知ることによって、重症化する前に診断、治療を行うことができるでしょう。
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